10月13日は豆の日。お豆でみんな健やかに。

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2018.02.20

お豆のコラム⑪ フレンチシェフに教えてもらう温かな豆料理

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強い寒気と大雪と、厳しさが際立った今年の冬。春の気配を感じさせる日が少しずつ増えてきましたが、寒の戻りがあると身に堪えます。あと少し、しっかり栄養をつけて季節の変わり目を乗り切りたいですね。この時期には、温かなボリュームのある料理がなによりのごちそうです。特に、シチューやスープなどの煮込み料理。何種類もの野菜と肉や魚を煮込むため、多くの具材の栄養を余すことなく一皿で取ることができるバランスのよい料理です。そして、煮込み料理といえば豆類の出番!
今回は、豆の産地・十勝の冬だよりと、フレンチシェフに教えてもらう、ごちそうになる煮込み料理をお届けします。

 

【豆の街、本別町の熊谷ひとみさんに聞く、十勝の冬と豆料理】

 

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写真:本別町の冬景色。木々にうっすらと雪のついた様子から、積雪の少なさがうかがえる。右は本別町の道の駅「ステラ★ほんべつ」前で毎年行われる「雪あかりナイト」。(写真提供:JA本別町、本別町役場) 


豆の産地である十勝地方で、おいしい豆を生産する本別町。地元の豆をもっと食べてほしいと生産者のお母さんたちが「豆ではりきる母さんの会」(通称、豆はり会)を発足したのは平成12年。以来、豆はり会のつくる豆類の加工品は味のよさ・品質の確かさで高い人気を誇っています。
豆料理といえば煮豆という生産者のお母さんが多い中で、豆はり会菓子部門のリーダー、熊谷ひとみさんは、様々な料理に豆を使う方です。「包丁を入れて薄く開いたトリ肉で金時豆を包んでトマトの水煮で煮込んだりするし、ペースト状の白いんげん豆に牛乳を加えてポタージュにするのもおいしいですよ」と熊谷さん。極寒の戸外の気配を感じつつ食べる熱々の豆料理はさぞおいしいだろうなと思います。「本別の冬はどんな感じですか」とうかがうと「今夜は-15℃。早朝はもっと寒くて-20℃くらいになる日もあるのね。雪はいま10cmぐらいかな。ここら辺は、日高山脈にさえぎられて意外と雪は少ないんですよ」。-20℃というのはどれほどなのか、北海道在住以外の人には未知の寒さですが、一方で家の中はとても暖かいのが北海道の冬だそうです。
「冬といえば、私はやっぱりお汁粉。大好きです。人によって違うけれど、カボチャかジャガイモの澱粉で餅をつくるんですよ」と熊谷さん。豆の中でも本別町の誇る豆が小豆。本別の小豆を使った熊谷さん手づくりのお汁粉はすごくおいしいだろうなと思います。お汁粉は、思いつくと食べたくなりますよね。機会があれば、ぜひ、熊谷さんはじめ北海道のお母さんたちのお汁粉を教えていただきたいと思います。

 

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写真:豆はり会の工房前で作業衣姿の熊谷ひとみさんと、菓子を製造する調理室。

 

【「シャントレル」のシェフ、中田雄介さんに教えてもらう豆の煮込み料理】

 

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写真「シャントレル」のシェフ、中田雄介さんとお店。小さなレストランながら、高い評価を受けている。http://www.chanterelle.jp/

 

 渋谷区にあるフレンチレストラン「シャントレル」のシェフ、中田雄介さんは、かつて、フランス・オーヴェルニュ地方の小さな村サンボネ・ル・フロワにある三ツ星レストラン「レジス・エ・ジャック・マルコン」(現名称)で修業を積んだ経歴の持ち主。レジス・エ・ジャック・マルコンは、こんなところに三ツ星レストランがあるのかという田舎にあるオーベルジュで、中田さんのお話では、シェフのマルコンは周辺の野山で採ったキノコをはじめとする食材も使って素晴らしい一皿を創造するのだとか。
そこで修業した中田さんのフレンチは、素材の持ち味や魅力が十二分に引き出され、ああおいしいと心の底から思える味わいを持ったもの。何よりも驚くのはとりどりの野菜のおいしさ。季節の息吹や力強さを感じさせる風味のよさ、滋味あふれる味わいには、野菜ってこんな味だったんだ、こんなにおいしいんだと目の覚める思いがします。そんな中田さんだからこそ、品質の高い北海道産の豆類のよさを生かした料理を教えてもらえるのではと、数種の豆をお渡して考えていただくことにしました。
「サンボネ・ル・フロワは緑のレンズマメの産地が近かったんですね。冷涼で乾燥している土地柄だから、豆が重要な農産物なのでしょう。豆料理といえば、豚の塩漬け肉や燻製と合わせた煮込み料理のイメージがあります。ヨーロッパには白いんげん豆の煮込み料理がたくさんあって、昔から庶民を支えた大切な栄養源だったんでしょうね。日本のようにふっくらと皮破れがしないように煮るということはないですね。ピューレになるくらいしっかり煮込むのが伝統的な調理法です」
今回、中田さんがつくってくれたのは、フランス南西部ベアルヌ地方の料理として有名な「ガルビュール」をアレンジしたもの。手に入りやすい材料でつくれるように考えてくれました。使った豆は皮の柔らかい手亡です。(手亡に関しては「お豆のコラム⑧」参照)
「ガルビュールは、白いんげん豆とキャベツを主に様々な野菜を煮込んだ料理で、澄んだスープとピューレになるほど煮込んだものがあります。ベアルヌ地方にはガルビュールで名高いレストランもあり、語らせたら熱いすごいシェフもいます。向こうでは、鴨の脂や生ハムなどを一緒に煮てこってりした味わいを出しますが、代わりにトリの手羽先やベーコンなど手に入りやすい材料で十分です。今回はピューレ状になるまでしっかり煮込み、この季節においしいタラに塩をしたものを焼いて合わせました。タラに刺してあるのは辛み・塩みのアクセントになるチョリソーで、サラミで代用してもいいですし、なくても大丈夫。仕上げに、向こうでは南西部でとれるエスプレットというトウガラシの粉をふるので、手もとにあるチリパウダーや一味唐辛子をふって召し上がってください」

 

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[材料] ベーコン(あれば生ハム)50g、トリ手羽先2本、玉ねぎ80g、にんじん50g、セロリ30g、ジャガイモ150g、キャベツ100g、かぶ2個、長ネギの白い部分50g、ニンニクみじん切り1かけ分、タラ(人数分の切り身を一口大に切る)。※野菜はすべて1cm角程度にざく切り。
豆:手亡150gを水につけて一晩おく。浸けておいた水を捨てて、新たにたっぷり水を注ぎ、ひとつまみの塩を入れて沸騰したら火から外して、常温になるまで置いておく。
ブーケガルニ:パセリの軸、ネギの青い部分、ローリエ、黒コショウ、クローブを布で包むかお茶パックなどに入れたもの。手もとにある材料のみで可。
[つくり方] 煮込み用の鍋にオリーブ油(本来は鴨肉の脂だがオリーブ油でもおいしくできる)とベーコンを入れて弱火で炒め、さらにニンニク、玉ねぎ、にんじん、セロリを入れて炒めたあと、豆と豆の煮汁と残りの材料、ブーケガルニを入れて中火で約2時間煮込む(圧力なべで時短可)。手羽は最後に骨を取り除く。コツは、コトコトではなくグツグツ煮て水分と油分を乳化させ、材料が煮崩れるまで水を足しながらしっかり煮込むこと。タラはしっかり塩をして、水分をふき取ったのちに、あればチョリソーまたはサラミを刺し、軽く粉をはたいてバターまたはオリーブ油で焼く。熱々のガルビュールを深めの皿にたっぷりと盛って、タラを上にのせ、チリパウダーや一味唐辛子をふる。

 

 タラは、上に添えなくても、塩をした生や焼いたものを一緒に煮込んでもいいそうで、それもおいしいそうです。また、手羽ではなく、豚バラ肉にしっかり塩をしてつくった簡単な豚の塩漬け肉を使うのもおすすめだそう。
普段はスープや甘煮が中心の豆ですが、こんなふうに煮て食べるのは新鮮な感覚。タラの香ばしさと煮込みのまろやかな味わいが口の中に広がります。
「日本の豆には繊細な風味があると思います。ジャガイモに比べてでんぷんがさらりとしているというか、ガルビュールも豆を多く使うと軽い仕上がりになってすっきりするようです。日本の豆をお店でも使いたいと思ったし、栄養的にも優れているので子どもにも食べさせたいと思います」
そんなに特別な材料を使わなくても、こんなにおいしいごちそうがつくれるんだと、改めて思った今回のガルビュール。熱々をほおばって笑顔になって、桜が咲く日まで元気に過ごしてください。

 

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