10月13日は豆の日。お豆でみんな健やかに。

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2022.10.13

お豆のコラム㉗新豆を食べよう!北海道の産地から収穫だより2022

 

今年も豆類の収穫期を迎えました。北海道の3つの産地を訪ねた9月半ば過ぎ。めったにないほどの素晴らしい晴天に恵まれ、産地を車で走っていると、黄金色に実った田んぼと完熟期を迎えて茶色になった小豆の畑が大地に彩りを添えて輝いていました。
新豆の味わい、ご存知ですか? とてもみずみずしく香りがよく、煮えたばかりの豆はほくほくとしたおいしさで、何も味をつけなくてもぱくぱく食べられるほどです。そして新豆はすぐ煮えます。一番早い金時豆から始まり、年内にほぼすべての豆類の新豆がお店に出そろいます。ぜひ、令和4年産の新豆を食べてみてください。

 

 

北海道有数の観光地、洞爺湖周辺の地域を事業区域とするJAとうや湖。環境に配慮した持続可能な農業でおいしい農畜産物生産に取り組んでおり、安全性を評価する国際基準であるGLOBAL G.A.P.認証を日本で初めてJAとして取得しました。(下写真:美しい洞爺湖)

JAとうや湖は、虎豆、大福豆、紫花豆・白花豆の産地として有名です。これらの豆は「つる性」で栽培するのが難しく「高級菜豆(こうきゅうさいとう)」と呼ばれています。今回は、虎豆の生産者である小野寺勲さんの畑を訪ねました。小野寺さんは3代目の生産者さんで、ご両親の代から虎豆を栽培しています。(下写真:小野寺勲さん。虎豆の畑で)

お訪ねした時、虎豆は、脱穀のために茎を乾燥させているところでした。茎の高さは2メートル以上にもなり、竹竿で支柱を組み、つるを1本1本巻き付けて育てます。収穫期になると、一度軽く寝かせてから数株まとめて写真のように組んで茎を乾燥させるのだそうです。茎が乾いたら、倒して竹竿を抜いてから積んで莢(さや)を乾燥させます。本当に手間がかかります。
「台風や雨に見舞われて倒れてしまうとダメになってしまうので心が折れそうになります。今年は平年並みでよかったです」と小野寺さん。実は数年前、JAとうや湖を取材する予定が強風のために竿が倒れてしまい、急きょ取材中止になったことを思い出しました。

小野寺さんによると「今は甘煮を食べるくらいですが、祖母の世代は虎豆を色々な料理に使っていました」とのこと。虎豆はホクホク感とねっとり感のバランスがよく、本当においしい豆です。皮が柔らかいので皮の食感が苦手な方も食べやすく、そしてどんな味付けにもなじむので食材としても優秀です。もっと虎豆を料理に取り入れて、日本が誇るおいしい豆、虎豆の生産者さんと産地を応援していきたいですね。

 

 

空港と支笏湖で有名な千歳市。石狩平野の南端に位置する千歳市は、昔から品質にむらのない大納言の産地として知られています。大納言というのは、小豆の中でも特に大粒な品種のこと。名前の由来はいつくかありますが、一説には煮た時に皮が破れにくい=腹切れしにくいため、切腹をしない公家の官位、大納言の名がついたと言われています。
下の写真は大納言の生産者、愛澤尚弘さんの刈り取り直前の畑。ずっと奥まで大納言で、東京ドーム1つ分より少し大きい広さ! 圧巻です。畑一帯は火山灰土だそうですが、これだけ広いと場所によって差があるそうで、それぞれに合った管理をしているそう。(下写真:ずっと奥のこんもりした緑のところまで大納言の畑!その真ん中にたたずむ左・愛澤尚弘さん、右・JA道央 千歳営農センターの堀 一嘉さん)

「用途は和菓子がほとんどだけれど、大納言は日本にしかない豆で代替できないんですよ。やっぱりおいしく食べてもらうのが一番。買ってもらうお客さんから指名されたりするとうれしいよね」と愛澤さん。今年は降雨量が多く心配されましたが、平年並みの出来だそうです。(下写真:ふっくら大粒の大納言。莢も小豆より大きい)

普通の家庭では大納言を使う機会が少ないかもしれません。でも、例えばお赤飯に使ってみてください。大納言は煮崩れしにくいため扱いやすく、大粒なのでさくさく・ほくほくした豆の風味を楽しめるおいしいお赤飯ができます。また、甘煮や蜜漬けにしてパンやスイーツに使うのもおすすめです。

 

 

蝦夷富士と呼ばれる羊蹄山を中心とする9町村8JAが合併して誕生したJAようてい。北海道有数の小豆の産地です。今回訪ねた俱知安町、京極町周辺は羊蹄山のふもとになだらかな丘陵が連なり、尻別川の澄んだ流れが輝き、素晴らしく美しい風景が広がっています。(下写真:たわわに実った小豆畑の背後に羊蹄山)

この辺りは羊蹄山に由来する火山性土の豊かな土壌に恵まれ、風味のよい小豆が採れます。畑によって土壌に差がありますが、8JAが一体となって管理し、品質にむらが出ないよう指導しているのだとか。大手和菓子店の中にはようてい産の小豆を指定して契約しているところもあるそうで、業務用として小豆の「ようていブランド」が確立しています。(下写真:8JAを象徴する8粒の小豆が並んだ「ようていブランド」の業務用袋を持つJAようていの川瀬恭平さん)

今年の小豆は莢も大きく平年並みの収穫が見込めるとのこと。市場に小袋で出回っている小豆は様々な産地のものが混ざっているため、ようてい産に限って入手することは困難なのですが、産地に旅することがあったら道の駅などで見つけてみてください。また、和菓子やスイーツの中には“ようてい産の小豆を使用”と明記しているものもあるので、それを味わってみるのもおすすめです。(写真下:たくさん粒のついた立派な小豆の莢。莢を割るとルビー色の小豆が)

 

約半年かけて北海道の大地で大事に育てられた栄養豊富な豆類たち。今年もおいしくお召し上がりください。

 

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