2021.10.13
お豆のコラム㉔ 北海道から収穫だより2021―10月13日は豆の日、10月は豆月間―
今年も新豆のシーズンがやってきました。農産物の「新物」は、季節を感じさせてくれるうえに食味も初々しく、店頭に並ぶとうれしい気持ちになります。産地の方は“豆は少し寝かせたほうが調理しやすい”と言いますが、それでも、ぜひ、新米を楽しむように新豆を味わってほしいと思います。すぐ煮えるし、煮ているときの香りもよく、新豆ならではの味わいがあります。
今年の収穫だよりは「ホクレン 石狩穀物調製センター」から。おおよそ北海道の西半分から集荷した小豆を調製加工し、その一部で消費者向けの小袋を製造しています。今回取材させていただいて、多くの生産者さんが丹精込めた豆が私たちの手もとに届く製品になるまで、多くの調製工程を踏んでいることに驚きました。
ここが3階建ての調製センターの搬入口です。豆が収穫されると、各JAを通じてセンターに集められます。同じ豆でも産地・品種が違うと収穫期も異なり、この時はちょうど、大豆と「きたのおとめ」という品種の小豆が運ばれてきていました。後ろの白い袋が小豆で、1つでなんと365㎏もあります!
運ばれてきた豆は、まず荷受ホッパーに投入されます。その下が夾雑物除去機になっており、豆の茎やさやなどの比較的大きな異物を網によって取り除きます。
その後、粗撰機にかけ、丸い網目を通して夾雑物除去機で取り切れなかった小さな茎やさやを取り除きます。右の写真の右側奥に見えるのが取り除かれた莢や茎。
強力な風によってほこり、土や砂、未熟な豆、割れた豆、小さな茎などの軽い異物を除去します。
豆の表面についたほこりや泥をブラシで落とします。ブラシ(写真右)はとても大きな掃除機のブラシのような構造をしており、触ってみると適度な硬さと柔らかさがあります。
比重差を利用して石などの異物を除去します。右の写真が取り除かれた石など。
10,000~12,000ガウスの磁力によって、磁力を帯びる異物を除去します。磁力を帯びるものだけが回転する磁石のプーリーに吸い付いたままになり、小豆は下に落下する仕組みです。
左の写真の大きなローラーのようなものに厚地の綿の布を取り付け、小豆を磨きます。磨かれた小豆が右の写真の向かって左。つやつやです。
風力によって、さらに砕けた豆、異物など取り除き、磨いたときについてしまった布のカスまでも取り除きます。
もう一度マグネットセパレーターにかけて、徹底的に磁力を帯びるものを除去します。
光の波長が異なる色の豆を検知し、色のよくない豆、皮がむけている豆を除去します。
ホクレンが開発した、X線によって異物を検知し、除去する機械。右の写真のモニターの中で雨粒が流れているように見えるのが小豆です。
最後はスタッフによる目視。集中力を要する作業です。
もう一度、マグネットセパレーターを通し、最終的な異物除去を行います。
いままでの工程でできた「業務用豆製品」を原料として小分け包装します。製品の内容量に合った重さになるようにコンピューターで制御して自動計量し、自動包装機で袋詰めが行われ、家庭用小袋製品ができ上がります。これは新豆の小袋で、おもに青果のコーナーに並ぶ、旬の小袋です。
最も驚いたのは、何度も何度も徹底的に異物除去が行われること。工程の途中で割れた豆なども取り除き、料理しやすい粒のそろった豆が製品化されます。こういう丁寧な調製を経た安全な豆が店頭に並んでいると思うと安心します。
新豆は、まず金時豆が。次に小豆。そして黒豆、とら豆や大福豆などの高級菜豆の順に、店頭にお目見えします。豆の新物、ぜひ楽しんでください。