2019.12.18
お豆のコラム⑱まめで元気に。おせちの煮豆3種。
年の瀬も押し詰まり、おせちの準備を始められた方も多いことでしょう。
昔、お正月の重詰めは各地の産物が使われた郷土色豊かなものだったようです。今でも、「うちのお正月はこれ」という、お母さんが引き継いできた料理で祝うご家庭もあると思います。それでも、江戸中期の文献に「田作、数の子、たたき牛蒡、煮豆が通例」という記述があるように、昔からお正月には煮豆、黒豆が祝い肴として欠かせません。
今年の12月のコラムは、煮豆3種をご紹介します。定番の黒豆。ほくほくした食味と豆のおいしさを堪能できる白花豆。そして、なんと金時豆の塩味のきんとん。これは辛党の方にも気にいっていただける煮豆です。
左:大粒でつややかな白色をした北海道産白花豆。右:北海道産黒豆。
【白花豆の甘煮】
とら豆や大福豆とともに「高級菜豆」といわれる白花豆。際立って大粒なので、豆本来のほくほくとした味わいを堪能できます。今回紹介するのは甘煮ですが、ぜひ煮込み料理にも使ってみてください。豆のダシがよく出て煮込み自体がおいしくなります。
大きいために戻しに時間がかかります。気温によって差がありますが、新豆でも2日程度みたほうがいいでしょう。豆はしっかり戻したほうがおいしく煮えます。たまに水を変えて、あとは放っておけばいいので、面倒くさがらず甘煮に挑戦してみてください。
煮るのは意外と簡単です。今年のおせちに、お重に詰めても存在感のある白花豆の煮豆を加えてみませんか。
<つくり方>
1、白花豆300gを洗って、たっぷりの水に1日半~2日間浸け、ふっくらとして皮のしわがなくなるまでしっかり戻す。(途中1~2度水を変える)
2、豆を厚手の鍋に入れ、新しい水をたっぷり加えて沸騰後10分ほど茹でたのち、一度水を切る。新たに水を加えて、豆がやわらかくなるまで弱火でコトコト1時間程度煮る。
3、豆が充分にやわらかくなったら、豆がかぶるくらいのゆで汁を残し、砂糖270g~300gの1/3を加え、15~20分煮る。残りの砂糖を2回に分けて加え、塩を加え、煮汁の量が半分以下になるまで煮て火を止め、そのまま味を含ませる。
【黒豆の甘煮】
煮るのが大変という印象のあるおせちの黒豆。今回、簡単でふっくら煮えるレシピを料理研究家の沼口ゆきさんが教えてくれました。使ったのは北海道産の黒豆。「丹波産に比べて小粒なので料理しやすく、味もいい。他の料理にも使い勝手がいいと思います」と沼口さん。沼口さんのレシピは、黒豆本来の甘みが感じられ、甘すぎる煮豆が苦手な人にもおすすめです。
<材料>
北海道産黒豆300g グラニュー糖270g 重曹小さじ1/3 醤油大さじ3 塩大さじ1/2 鉄たまご(または錆びた釘3~4本をさらしなどで包む)
<つくり方>
1、厚手鍋に水8リットル、砂糖、醤油、重曹、塩、鉄たまごを入れて沸騰させて混ぜ、火を止める
2、黒豆を洗って1に入れ、フタをして一晩おく。
3、2から鉄たまごを取り出して火にかけ、沸騰後アクを取り、差し水(コップ1杯ほど)を加え、紙フタをして弱火で3~4時間静かに煮る。
4、豆が柔らかくなったら火を止めてそのまま冷まし、半日~1日おいて味をふくませる。
【金時豆の塩きんとん】
味付けは塩だけ。それだけでおいしいの?と思いますが、つくってみるとわかります。豆の味が引き立ち、舌触りもさらっとして、甘煮より好みだという方が少なからずいらっしゃると思います。日本酒や白ワインにも合います。「つくるときのポイントは塩加減。分量通りつくって、もし足りなければ食べる時に塩を振るほうがおいしくなります」と沼口さん。普段はサラダ代わりに食べたり、肉料理の付け合わせにもおすすめ。豆の栄養を気軽に摂れます。ただ、甘煮に比べて日持ちがしないので、たくさんつくったら冷凍しておくといいでしょう。
<材料>
金時豆200g(水に浸けて戻したもの) 塩小さじ1/3 Exオリーブ油適量
<つくり方>
1、金時豆はやわらかく茹で(皮が少し破れるくらい)、ゆで汁を鍋底1㎝ほど残して捨て、塩を加えて木べらで半分くらい豆をつぶすように中火で練り上げる。
2、器に盛り、いただくときにオリーブ油を少量かける。好みで塩を少々散らしてもよい。
大地の恵み、栄養豊富な豆で来る新しい年も健やかにお過ごしください。