10月13日は豆の日。お豆でみんな健やかに。

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2017.02.21

お豆のコラム⑧ 「滋味あふれる豆のスープ」

お腹の中からからだを温めてくれる、湯気の立つ1杯のスープ。朝に、昼に、夕に、いつ食べてもおいしく、子どもも高齢の方も食べやすく、しかもいくつもの食材の栄養をとることができる。スープは、寒い日には特に格別の食卓の幸せです。
スープをつくるなら、ぜひ、豆を使ってみてください。豆を使ったスープなどの煮込み料理は、世界各国に本当に数えきれないほどあります。広く使われているのはいんげんまめ。さすが原産地とみられる中南米では紀元前8,000~7,000年頃にはすでに栽培されていたという豆。世界のいんげんまめの料理を見ていると、古来より長い時をかけて、世界中で日々の暮らしに馴染んできたのだろうなと、人間との深いかかわりを感じます。
日本では、その生産量の多くが和菓子の材料になる白いんげんまめですが、世界中で煮込み料理によく使われています。ぜひ試してみていただきたいと思います。
今回は、白いんげんまめを使った簡単なスープを3種ご紹介します。

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白いんげんまめ。左:大福豆。真ん中のくびれが愛らしい真っ白な豆。中:ほんのり黄みがかった乳白色が美しい白い金時豆、福白金時。右:手亡。半蔓性で支えとなる支柱がいらないためこの名前が付いたと言われています。どれも風味のよい、おいしい豆です。

 

【更別村・石井農園の石井ご夫妻に、手亡について教えてもらう】

 

「更別(さらべつ)の手亡の生産量は日本一なんだよ。昔から小豆、手亡、大正金時の3種類をつくっていたんだよね。手亡は豆鞘が薄いので腐るのが速いから、同じ十勝地方でもつくれないところがある。更別は気候が合っていたんだろうね。」と、優れた生産者である石井祐一さん。有機物を使った土づくりによって、環境に優しく安全な農業に取り組んでいる十勝地方の更別は、おいしい豆がとれるところとして有名ですが、奥様の教子さんは手亡の料理をほとんどしないのだそう。その理由を聞いてみたところ、「やっぱり和菓子の材料というイメージが強いんですね。それから、手亡は皮が柔らかくて火の通りも早いから、目を離すとすぐ柔らかくなってしまう」とのこと。白いんげんまめの煮込み料理が世界ではポピュラーだとお話しすると、逆に驚いておられました。

 


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 豆畑の前の石井祐一さん、教子さんご夫妻。

 

【乾燥豆から調理できる、白いんげんまめの「豆のうまみ」!? 】

 

「皮が柔らかくて煮えやすいということは、忙しいお母さんにはむしろ便利だし、皮の食感を気にするお子さんも食べやすいのでは?」とお尋ねすると、「確かに、白いんげんまめはアクもほとんど出ないし、皮が柔らかいので、下煮もしっかり煮なくていいかもしれませんね」と教子さんはおっしゃっていました。
色々とお話しするうちに、各国の豆の煮込み料理には下煮せずに洗った乾燥豆から煮込むものも多いことを思い出しました。ギリシャにはファソラーダという、白いんげんまめと野菜のみで煮込むスープがあります。まず豆を煮て、そこに野菜を投入して長時間ひたすらコトコト煮込むというものなのですが、オイルも肉類もブイヨンも全く使わなくても、とてもおいしいそう。豆スープならではの優しく深い味わいがあるとのことなのですが、「乾燥豆から一緒に蒸すわけではありませんが、お赤飯も小豆の煮汁を使うからおいしいですよね」と教子さん。
もしかすると、下煮をしっかりし過ぎると、煮汁に溶け出した豆本来のうまさを捨てていることになるのかもしれません。「豆のうま味ってあるのだろうか」と、そんなことも考えてしまいました。確かに、いんげんまめの20%程度は良質のたんぱく質ですし、そこにうま味成分であるグルタミン酸やアスパラギン酸が含まれています。そして、何度も下煮すると成分の数十パーセントは煮汁に出てしまいます。
教子さんは「どれくらい下煮すればいいのかとか、気遣いすることなくつくれる豆のスープは、らくでいいですね。料理は肩に力が入ると大変になってしまいますから」とおっしゃっていました。下煮するにしても短時間でよく、料理によっては乾燥豆から煮込むことのできる白いんげんまめ。しかも食物繊維がとび抜けて豊富で、炭水化物と脂質を分解するビタミンB1、B2、たんぱく質の合成を促進するB6も豊富に含まれています。いいところ尽くしの白いんげんまめ。おいしい煮込み料理に仕立ててたくさん食べたいですね。

 

【おいしいスープをつくろう!】

 

白いんげんまめ3種類を使った簡単なスープをご紹介します。今回、レシピを考えてくれたのは、鎌倉でデリを主宰するほか、ケータリングサービスも行っている馬詰佳香さん。「白いんげんまめ3種類を使い分けてみたことがなかったので、私自身、色々と発見がありました」と話していました。
あらかじめ、豆は下煮をしています。一晩浸水した豆を水ごと火にかけ、グラグラと煮立ったら湯を切り、再び水から、煮立たないようにあくまでコトコト煮ます。しっかり柔らかくならなくても、また煮込むので大丈夫。煮汁ごと冷凍保存しておけば、いつでも手軽にスープをつくることができます。豆は凍ったまま調理できる点がありがたいですね。
豆のスープはコトコトと煮込むほどおいしくなる気がします。煮詰まりすぎたかなと思ったら、豆の煮汁か水を足せば大丈夫。掲載した煮込み時間は最低この程度と思っていただいて、余計な気遣いをせずに気軽につくってみてください。

 

<手亡のミネストローネスープ>

小粒の手亡と、賽の目に切った野菜で具だくさん。小さなパスタも入っていて、朝食やランチにもなるスープです。ベーコンは入っているものの、ブイヨンを使っていないにもかかわらず、このコク、このおいしさ! パルメザンチーズを振りかけて食べるので栄養もたっぷりで、お子さんから高齢の方まで、きっとこのスープは好きだと思います。石井教子さんがこのスープを試作してくださり、「翌日のほうがよりおいしい」とおっしゃっていました。
〔つくり方〕鍋にオリーブオイルとニンニクを入れて弱火にかけ、玉ねぎを加えて透き通るまで炒めたらベーコンを加え、脂が出たらパプリカとズッキーニを加えて炒める。豆とゆで汁を加え、水500ml、ローリエ、塩・コショウを加えて、フタをして中火で20分程度煮る。パスタを加えてさらに10分煮込む。食べるときに、パルメザンチーズをふり、好みでオリーブオイルをかける。

 

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材料(4人分):手亡ゆで汁150g、豆250g。玉ねぎ1/2個、パプリカ1個、ズッキーニ1/2本、ベーコン2枚、ニンニク1/2片。小さいパスタ80g。ローリエ3枚。オリーブオイル大さじ1。塩・コショウ適量。パルメザンチーズ適量。

 

<大福豆のかんたんカスレ>

カスレはフランス伝統の豆と肉の煮込みです。本格的なカスレは肉を数種使うなど、少々面倒ですが、今回は豚バラ肉のみの使用です。カスレは、スープというより、ごちそうになる煮込み料理。本当においしいです。
〔つくり方〕オリーブオイルとニンニクを鍋に入れ、香りが立ったら玉ねぎ、ニンジン、セロリのみじん切りを加え、じっくり炒める。別に、フライパンにオリーブオイルを入れて豚肉を焼き、脂をふき取ったのちに白ワインを加える。肉を汁ごと鍋に加え、トマト缶、ローリエ、チキンブイヨン、豆と豆のゆで汁を加え、アクを取りながら、フタをして弱火で1時間煮込む。

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 材料(4人分):豚バラ肉500g(粗塩、コショウ少々をもみ込んでおく)。大福豆ゆで汁150g、豆250g。ニンニク1片、オリーブオイル大さじ3、玉ねぎ1/2個、ニンジン・セロリ各1/2。トマト水煮400g1缶。白ワイン150ml。チキンブイヨン、ローリエ。

 

<福白金時の和風ポタージュ>

皮が柔らかく、煮えやすい白いんげんまめの特性を活かして、ポタージュをつくりました。手軽に、皮ごとミキサーにかけましたが、豆を煮崩れるくらいまで下煮してザルで濾すと、より雑味のないポタージュになります。ほっとする優しい味のスープです。簡単につくることができるので、小腹がすいたときや夜食にもぴったりです。
〔つくり方〕ゆで汁と豆をミキサーにかけて中火にかけ、湧いてきたら弱火にし、牛乳を加える。味噌を溶き入れてバターを加え、塩・コショウで味を調える。

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材料(1人分):福白金時ゆで汁1/2カップ、豆大さじ5。牛乳1/2カップ。味噌小さじ1。バター5g。塩・コショウ。

 

世界中のスープや煮込み料理の写真を見ていると、そこに湯気の立つ暖かなキッチンの風景と料理する人の愛情が透けて見えてくるような気がします。また、いんげんまめがそういう情景に溶け込み、人々の健康を支えてきたのだろうとも感じます。調べると、たくさんのレシピが見つかります。ぜひ、乾燥豆から煮て、おいしくて栄養たっぷり、愛もたっぷりの、おいしいスープや煮込み料理をつくってみてください。

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