10月13日は豆の日。お豆でみんな健やかに。

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2016.12.20

お豆のコラム⑦ 「白いんげんまめで、お正月の豆料理」

師走も半ばともなると、お正月のおせち料理の準備が気になり始めます。
おせち料理とは、もともとは朝廷で催された五節供の際の料理のことで、その後、広まってかたちを変えて行く中で、お正月の料理だけをさすものになったといわれています。重箱のルーツは経箱だったそうで、普及したのは安土桃山時代から江戸初期。いまでは「ハレ」の日の器となっています。
いまのおせち料理の原型ができたのは江戸時代だとか。本来、おせち料理は地域によってさまざま。その土地ごとに、日頃食べない山海の珍味を、数日保存可能な調理法で詰めたものでした。

 

いま、おせち料理は本当に多種多様になり、特別なものをあつらえる方もいれば、地域の味を楽しむ方もいらっしゃるでしょう。お重も一段から何段も重ねたりとさまざまですが、縁起のよい奇数の料理を詰めるとされ、上段の一の重には「祝い肴」(お屠蘇と食べる前菜のような位置付けの料理)を詰めます。昔から、祝い肴三種とは子孫繁栄、五穀豊穣、長寿を願う気持ちを込めて数の子、田作り、煮豆とされ、そのほかに牛蒡やかまぼこ、各地の産品の煮物などを詰めていました。

 

おせちの豆料理といえば黒豆ですが、今回はもう一つ、豆を使ったおせち料理として豆きんとんをご紹介します。
きんとんといえば、さつまいもでつくったものを思い浮かべる方も多いと思いますが、白いんげんまめでつくる豆きんとんの上品な味わいは格別です。
用意する白いんげんまめは、手亡、大福豆、福白金時など。いずれも和菓子の白あんに使われる豆です。白あんがお好きなら、ぜひ豆きんとんを試してみてください。つくり方もかんたんで、甘さも練り具合もお好みで仕上げることができます。

 

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左:真っ白で美しく、おおぶりの大福豆。風味のよい豆として知られ、和菓子のほか、煮豆、甘納豆に使われます。右:手亡。外国では料理によく使われますが、日本では和菓子のあんに多く使われています。福白金時についてはこちらから

 

お正月にいんげんまめを食べていただきたい理由の一つに、その栄養や成分があります。
いんげんまめは、豆類の中でも食物繊維が一番豊富。ごぼうの3倍にもなります。しかも、煮ることによって繊維が増えるというからおもしろいですね。また、炭水化物と脂質を分解するビタミンB1、B2、たんぱく質の合成を促すB6も豊富。食べ過ぎ、便秘など、体調や美容の管理を怠りがちなお正月にこそ食べて欲しい豆です。

 

まずは、いんげんまめの基本の煮方から。
豆に対して2〜3倍量の水に一晩浸け、十分に浸水した白いんげんを鍋に入れ、豆の表面から5センチほど上まで水を入れて、落としぶたをして中火にかけます。煮立ったら弱火にして3分ほど煮たら、落としぶたをしたまま上から水を注ぎ入れます。鍋の中の水が完全に入れ替わってきれいになったら再び煮るというふうに、何回か繰り返してアク抜きをします。その後、ごくごく弱火でお好みの柔らかさになるまで煮て、煮汁ごと冷まします。

 

【豆きんとんの柚子添え】

 

白あんに使われる白いんげんですから柑橘との相性もいいはずと、豆きんとんに黄金色がお正月にふさわしい柚子を添えてみました。柚子以外に金柑の甘露煮でも。柑橘の爽やかな香りが移ったところは、また違う風味が味わえます。

 

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豆はやや柔らかめに煮たものを用意。豆を入れた鍋を弱火にかけ、豆の2/3〜同量の砂糖を数回に分けて加えながら、まめをつぶすように混ぜて水分を飛ばします。水分の残し具合はお好みで。仕上げに塩をひとつまみ加えてもいいのですが、柚子を添える場合は控えめに。適当な大きさに切って砂糖をまぶしておいた柚子を添えます。

 

【白いんげんのお正月料理2種】

 

健康と美容のために食べたいいんげん豆。多めに煮て、さっぱりしたお正月料理はいかがですか? この2品は、どちらも冷蔵庫で三が日は日持ちします。

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<紫キャベツと豆のサラダ クミン風味>
太めの千切りにした紫キャベツに塩を少々して5分ほどおいて水気を切ります。白いんげんと紫キャベツに、塩、コショウ、酢、オリーブ油、クミンシードをいずれも少々加えて和えます。味の濃い料理が多いお正月に、クミンの風味が爽快で、いくらでも食べられる、さっぱりした一品です。
<寒天なしのフルーツみつ豆>
煮たいんげん豆を鍋にかけ、ひたひたのメープルシロップを加え、沸騰したら火を止めてそのまま味を含ませます。シロップ(水1+1/4カップ、白ワイン1/4カップ、グラニュー糖1/2カップ、レモン汁1/2個分を煮立たせて冷ましたもの)に好みのフルーツを漬けます。冷蔵庫で2〜3日後が食べごろです。器にフルーツをシロップごと盛り、豆をたっぷりのせていただきます。これは、シロップがとてもおいしくて毎日でも食べたくなります。ごちそうが続く三が日は、冷たいフルーツのデザートがうれしいもの。ぜひ、つくってみてください。

 

今回の料理を考案してくれたのは、料理研究家の沼口ゆきさん。日本と台湾を行き来して、両国で料理教室を開催しています。台湾では、日本にこれほどの豆の種類があることに驚かれたそうです。おせちの祝い肴の煮豆も、色々な郷土料理があります。興味のある方にはぜひ調べていただき、お正月に欠かせない豆料理を色々と楽しんでいただきたいと思います。

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お正月の小豆と黒豆についてはこちらから

 

 

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