2022.05.26
お豆のコラム㉖ おいしい虎豆で、お弁当の簡単おかず
「煮豆の王様」と呼ばれる虎豆、召し上がったことはありますか?
つやのある乳白色の地色に虎のような茶色の模様がある美しい虎豆。栽培するのがむずかしく、高級菜豆と呼ばれています。
虎豆は、皮が薄いので皮が気になる方も食べやすく、くどさがなく、ホクホク感とねっとり感のバランスが非常にいい豆です。煮豆のおいしさはもちろんですが、どんなふうに調味してもその味を受け入れて品よくまとまるところがすごい! 食材としてもとても優秀だと思います。
他のいんげんまめの仲間同様に虎豆も脂質がほとんどなく、炭水化物が約60%、たんぱく質も約20%と豊富なうえに、糖質をエネルギーに変える働きを助けるビタミンB1と、脂質のエネルギー変換や細胞等の成長を促進するビタミンB2が多く含まれています。豆類を使ったお弁当のおかずは、午前の疲れをリセットして頭と体を活発にすることを助けてくれます。
今回は、虎豆を使ったお弁当のおかずをご紹介します。レシピを考えてくれたのは料理研究家で管理栄養士でもある近藤幸子さん。「虎豆はクセがなく子どもでも食べやすい豆だと思います。どんな味付けをしてもOKなところもいいですね。じゃがいもと同じでんぷんなので、豆のイメージに縛られずにじゃがいも感覚で使うと料理の幅が広がりそうです」と近藤さん。豆を茹でて保存しておけば、朝、さっとつくれる3品をご紹介します。※茹でた豆は小分けして冷凍保存を。凍ったまま調理できます
【虎豆の生産地、訓子府町の石川修さんからメッセージ】
オホーツク地域にある訓子府町は、北海道で2番目の虎豆の産地です。その訓子府町で虎豆を生産している石川修さん。かつてフレンチレストランのシェフを務めていたという異色の生産者さんです。皮が薄いため上手に煮るのが難しいという虎豆の煮方を、以前、石川さんに教えていただいたので、ぜひ参考にしてみてください。※虎豆の煮方に関する記事はこちらから。
「今年の種蒔きは5月末に行います。近年日照りが続いているので、今年は天候に恵まれるといいなと思います。虎豆は僕も大好きです。ずっとつくり続けたいと思っています」と石川さん。虎豆は蔓性で高さが3メートルほどになるため、支柱を立てて蔓を1本1本手作業でからませて育てます。石川さんたち生産者さんの手間をかけた作業があるからおいしい虎豆ができます。
左:つやつやした虎豆。右:収穫時期の虎豆の畑の石川修さん(数年前)。支柱から外して刈り取った蔓を写真のように積み上げて(「にお積み」といいます)自然乾燥させてから脱穀します。
【おかずレシピ❶虎豆の簡単トマト煮込み】
ハムとトマト+虎豆という、いかにも子どもが好きそうな組み合わせですが、意外にも上品な優しい味で大人も喜ぶこと間違いなしです。虎豆はさらっとした食感でくどさがないため、トマト味にも違和感なくなじんでいます。ご飯にのせて食べてもいいですね。
材料(つくりやすい分量):茹でた虎豆200g トマト1個(1cmの角切り200g) 玉ねぎ1/2個(1cmの角切り) にんにく1/2(薄切り) オリーブオイル大さじ1/2 塩小さじ3/4
つくり方:鍋にオリーブオイルを熱し、にんにくを入れて香りがたったら材料をすべて入れ、沸騰したら中火で約10分、かき混ぜながら水分がなくなるまで煮る。
【おかずレシピ❷虎豆とクリームチーズのクロワッサンサンド】
じゃがいも感覚でマッシュしたものにクリームチーズを混ぜてクロワッサンに挟みました。クセのない虎豆でつくるとあっさりした風味になります。にんにくを加えて少しパンチのある味わいに仕上げました。食パンより甘めのクロワッサンのほうがよく合います。大人用にはディルを挟んで苦みを添えて。子ども用はにんにくを抑えめにしてもいいでしょう。
材料(つくりやすい分量):茹で虎豆200g クリームチーズ30g おろしにんにく少々 塩小さじ1/3
つくり方:虎豆をフォーク等で粗くつぶし、その他の材料を加えてクリームチーズが全体になじむまで混ぜる。横半分に切れ目を入れたクロワッサンに挟む。
【おかずレシピ➌虎豆の甘辛漬け】
煮豆にせず、虎豆を砂糖、しょうゆ、塩昆布の調味液に漬けた常備菜です。これなら煮豆を食べたい時に食べたい量だけ、茹で豆から簡単につくることができます。保存期間は冷蔵で3~4日。調味液の味は加減してお好みの味を見つけてください。
材料(つくりやすい分量):茹で豆250g しょうゆ大さじ2 砂糖大さじ1.5 塩昆布大さじ1 水カップ1/2
つくり方:清潔な保存ビンに豆以外の材料を入れてよく混ぜ、豆を加えて漬け込む。※1時間漬ければOK
豆類に不足している栄養素はビタミンC。簡単トマト煮込みのお弁当のように、ビタミンC豊富なブロッコリーやピーマンなどもおかずに加えましょう。
梅雨に入ると気圧と湿気の関係で不調を感じる人が多いのだとか。豆類をお弁当に取り入れて、栄養バランスのよい食事をこころがけ、しっかり体調管理をしていきたいですね。※おかずが傷まないようにご注意ください