10月13日は豆の日。お豆でみんな健やかに。

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2019.10.12

お豆のコラム⑰ 新豆を食べよう! 北海道の産地から収穫だより2019年版

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生産者さんを訪ねるために十勝地方に入った9月末。素晴らしい十勝晴れでした! 雲一つない、どこまでも青い大空を十勝晴れと言うそうで、時折きれいな雲が流れていくものの、まさにあっぱれな十勝晴れ。改めて、北海道はいいなあと実感しました。
今年も新豆の季節がやってきました。豆は長期保存ができるため見落とされがちですが、実は、お米と同じように新豆の味わいは格別です。一度、新豆を煮てみてください。早く、柔らかく煮えます。そして、煮え具合を確かめるとき、鍋からすくって食べてみてください。ホクホクとした食感と豆のうまみがおいしくて、もう一さじ、もう一さじと止まらなくなります。煮ただけの状態で、味付けもないのに箸が止まらなくなる食材なんて他にはありません。新豆を食べて、ぜひ豆のおいしさを実感してみてください。

 

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十勝晴れの大地のはるか向こうまで続く黒豆の畑。圧巻です。持ち主は松崎農場の松崎哲也さん。つくっている黒豆の品種は「いわいくろ」です。産地は違いますが、「お豆のコラム②」で黒豆ご飯をつくった料理研究家の近藤幸子さんが「豆が栗のように甘い!」と驚いた品種です。
就農して20年。5年前にお父様から経営を受け継ぎました。
「経営を行うようになって畑が自分のものになり、育てる楽しみがより一層増しました。毎日畑を見に来ます。やはり、適期作業をすることが大事ですよね。とはいえ、同じ畑でもつくる人によって変わるのがおもしろいところです」と松崎さん。
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柔らかい口調で話す松崎さんですが、広々とした自分の黒豆の畑に立つ姿は生産者としての力量を感じさせる凛々しさがあります。もともと食べ物に興味があったそうで、豆の調理品では豆パンをよく食べるとか。
8月に今までにないような猛暑日が続いたため、「今年は少しサヤの数が少な目かもしれない」とおっしゃっていましたが、ぷっくり膨れたサヤの具合を見ると出来がよさそう。10月中旬が収穫のとき。松崎さんがつくったおいしく甘い黒豆が生活者に届くのはもうすぐです。

 

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小麦・ビート・馬鈴しょの生産が盛んな、世界遺産知床を有する知床斜里町で、白花豆の栽培を始めた生産者さんがいます。
まずご自宅を訪ねると、まるで巨人のようにそびえる銀泥の大木が3本、入り口で出迎えてくれました。堀田農園の堀田泰久さんの祖先がこの地に入植したときに植えたものだそう。堀田さんは、初代から後を引き継いだ先祖から数えて5代目になります。
「斜里町では小麦、澱粉用の馬鈴しょ、ビートをつくっているんだけれど、輪作を整えようというときに、国際マメ年(※国連が2016年を国際マメ年に指定)を知って、豆の栽培を始めたんだよね」
斜里町での小豆以外の豆の栽培は、堀田さんの声掛けで始まったのだとか。始めは大豆、次に金時豆。どちらも結果を残したため、豆の栽培に興味を持つ生産者さんが増えているそうです。
「豆を栽培するメンバーが新しく機械を購入したら、古い機械を新しいメンバーに融通するとか、栽培のノウハウを共有するとか、仲間で協力してやっています。白花豆は欲しいという人がいて初めてやってみたんだけれど、家庭菜園みたいなものですよ(笑)」。
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この広さで家庭菜園とは恐れ入ります。「まるでジャングル」と堀田さんは言っていましたが、2メートルはありそうな白花豆が元気に茂っており、たくさんサヤを付けていました。白花豆を育ててきたのは主に奥様の麻美さんだそう。
白花豆は高級菜豆と言われる豆のひとつで、大粒でホクホクした食感の非常においしい豆ですが、つる性のために支柱を立ててつるを1本1本支柱に誘導しなければならず、栽培にはとても手がかかります。
「つるを支柱に留めるのに光分解テープを使ったり、作業の負担を軽減する工夫はしていて、こういうことを考えるのが楽しいよね。土の質は豆に向いていると思う。おそらく今年の白花豆の収量はすごくいいんじゃないかな。嫁さんが続けたいと言っているから、今後もつくっていくと思うよ」
堀田さんは白花豆を使ったジェラートをつくりたいと話していました。堀田さんは他にも、農業とその生産物を活かすたくさんの夢を持っています。「そういうことを考えられるから農業は楽しい」という堀田さんは、新しく農業を始める人の道標になるかもしれません。

 
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豊頃町で多くの種類の豆をつくっている山本達実さん、博子さんご夫妻。土壌の改良、酪農家と連携した堆肥づくりと輪作の確立、収量や品質を上げる独自の取り組み等を行い、これまで数々の賞を受賞している優秀な生産者さんです。小豆以外の豆類では、金時豆のほかに、希少と言われる白小豆と白い金時豆の福白金時もつくっています。山本農場の経営は、現在、息子の孝さんが主体となっており、お正月を紅白の豆で祝うという趣旨のもと、小豆・白小豆と金時豆・福白金時のセットをふるさと納税に提供するとともに希望する方への販売も始めたそうです。
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「今年の小豆はいいと思うよ。8月の高温時期には心配したけれど、その後好天が続いたから。上のほうのサヤをみると、普通は5~9粒ぐらいのところ、10粒以上入っているサヤもある。昔は、豊頃の祭りが9月末にあって、祭りの少し後まで霜が降りなければ大丈夫だと言っていたんだよ。あと少しのあいだ霜が降りなければ大丈夫だね」と達実さん。今頃、今年の小豆の収穫期を迎えていることでしょう。
達実さんを助けて農場の成長に貢献してきた奥様の博子さんは料理上手で、特に羊かんづくりの名手です。お尋ねした際にごちそうになりましたが、本当に絶品でプロ並みの腕前。機会があれば、ぜひつくり方を教えていただきたいと思います。

 

この美しい北海道の景色は、北海道に暮らし、食べ物をつくってきた人たちの歴史の賜物なんだなと思います。北海道の秋の恵み、豆類を今年もおいしくいただきましょう。

 

 

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