2026.06.18
お豆のコラム㊶ 栄養たっぷりの「フライビンズ」を食べよう
今回のコラムは、豆類を加工した製品、「フライビンズ」をご紹介します。
フライビンズは、豆類を素揚げして軽く塩味を付けたもので、えんどう豆を揚げた「グリーンピース」、そら豆を揚げた「いかり豆」があります。どちらもサクサクとした食感と豆の風味がよく、食べ始めると止まらない美味しさです。おつまみとしてとても人気のある「いかり豆」は、揚げることで皮がはじけた様子が錨(いかり)に似ていることからこの名前がついたと言われています。また、一般的によく使われるいかり豆という名前は、もともと関西を中心によく使われており、「花豆」(関東)、「雁豆(がんまめ」「夏豆」(ともに九州)という呼称もあります。

左がそら豆を揚げたいかり豆。右がえんどう豆を揚げたグリーンピース。
えんどう豆もそら豆も、たんぱく質、食物繊維、ビタミン・ミネラルを多く含みます。特にそら豆のたんぱく質は、豆類の中では大豆に次ぐ含有量です。フライビンズにするとカロリーが高めになりますが、食べすぎなければ大丈夫。栄養豊富で手軽に食べられるフライビンズを、もっと食生活に取り入れたいですね。
豆菓子を製造する「松川屋」を訪ねて
茨城県石岡市に工場を持ち、埼玉県三郷市に本社を構える「松川屋」は、豆菓子・ナッツ製品の製造・卸を行っています。4代目にあたる山田 純さんを訪ねて、フライビンズと豆菓子のお話をうかがいました。

松川屋代表取締役の山田 純さん。
「うちが江戸川区で創業した頃には、フライビンズの製造をしていたんですよ。大きな水槽で乾燥そら豆をもどして、揚げた時に皮がはじけるように、手作業で一つひとつ丁寧に切れ目を入れていたことを憶えています。やがて都区内で揚げ物をするのが難しくなり、豆菓子の製造と卸を行うようになりました。現在、フライビンズは仕入れて製品化しています」

和菓子店、おせんべい屋、生協などに卸している、松川屋の代表的な製品。
フライビンズ、落花生、大豆などの豆類を原料に様々な製品をつくっている松川屋の工場で、主力製品の豆菓子の製造を見せていただきました。
「豆菓子は、落花生や大豆、皮をむいたそら豆に糖蜜、小麦粉、寒梅粉(餅を焼いてから粉にしたもの。寒梅が咲く頃につくられていたため、この名が付いた)の順で交互に回しかけながらまとわせ、層にしていきます。それを焼成してから様々な味を付けるのです。温度・湿度によって粉の状態も変わりますし、職人のカンと技が必要な繊細な作業です。そして、粉の配合と使用する機械によって、食感が全然違ってくるんです。だから製造元ごとに独自の味わいがあるんですよ」

機械の中で回転する豆や落花生に、繰り返し糖蜜、粉類を回しかけ、薄い層をつくっていきます。出来具合は職人が手で確認(右)するため、技が問われる重要な工程です。
小麦粉だけでは硬くなりすぎるので、寒梅粉を使い、また、糖蜜を使うことで、どんな味付けにも合う、ほんのりとした甘みが付きます。普段、何気なく食べていた豆菓子の製造過程に、こんな工夫があることに驚きました。また、どんな味を付けるかによって、大きさを変えたり、食感を変えたりして、美味しさを追求してつくっているそうです。
「『こんな味のものが欲しい』というご要望に応えることも多々あり、常に新しい製品の開発を行っています。豆菓子って意外に懐が深いというか、幅広い味付けに対応できる点がおもしろいところです」

左・中:糖蜜、小麦粉、寒梅粉をまとわせた落花生とそら豆。これを焼成してから様々な味を付けます。右:イタリア料理店の要望でつくった、アヒージョ味とアクアパッツァ味の豆菓子。このほかに、グリーンカレー、モッツアレラ+トマトなども開発したことがあるとか。山田さんは、どんな要望でも、長年の経験値でできそうかどうか判断ができるそうです。
現在は、輸出を視野に入れた製品開発にも取り組んでいるそうです。
また、山田さんはフライビンズを自社で製造することも考えているのだとか。
「フライビンズの製造元がどんどん少なくなっており、危機感を持っています。例えば、少ない油またはノンフライでつくることはできないかなど、色々と検討しています。フライビンズは昭和10年頃からつくられてきた食品です。途絶えないように、何とか方法を模索していきたいですね」
栄養のある豆を手軽に食べられるようにしたフライビンズ。そのまま食べてもいいですし、砕いてサラダのトッピングにしたり、炒め物に加えたり、工夫次第で様々なアレンジも可能です。ぜひ、食生活に取り入れてみてください。
子どものおやつに。いかり豆の美味しいアレンジレシピ
ビールのお供と言われるいかり豆を、栄養豊富な子どものおやつにアレンジしました。レシピを考案してくれたのは、料理研究家の沼口ゆきさんです。キャラメリゼしただけですが、カラメルの衣をまとった皮がパリパリと心地よく、中の豆の風味がしっかり感じられ、ものすごく美味しくてびっくりします。一緒にキャラメリゼする材料は、カラメルと相性のいいお醤油味の柿の種など、お好みで選んで楽しんでください。大人には、赤ワインのおつまみにもおすすめです。
【材料】
A:いかり豆50g カシューナッツ30g 食べやすく砕いたビスケット30g
グラニュー糖30g 水大さじ1 バター小さじ1
【つくり方】
① フライパンにグラニュー糖を入れ、上から水をまわしかけ、中火にかける。
POINT! 木べらなどでのかき混ぜ厳禁!時々フライパンをゆすってじっと待つこと。
② 砂糖が溶け、気泡が大きくなったらAを入れて混ぜる。砂糖が色づき、カラメル色になったらすぐに火を止め、バターを加えて混ぜる。
③ クッキングシートに広げて完全に冷ます。
※保存袋の空気を抜き、しっかり密閉して冷蔵庫に入れると、約10日間保存できます。




