2024.12.21
お豆のコラム㊲お重に詰めて引き立つ、大粒の紫花豆の煮豆3種
12月も残りわずかとなり、いよいよ年の瀬も間近になってきました。そろそろお正月の準備を始めている方も多いことでしょう。
「まめまめしく働けますように」という願いを込めた、お正月の豆料理。使う豆は黒豆が一般的ですが、群馬県や山梨県では、紫花豆の煮豆をおせちに入れる地域もあります。花豆には、紫花豆と白花豆があり、ともにインゲンマメの仲間で、赤い花から実ったものは紫花豆に、白い花から実ったものは白花豆になります。夏涼しい気候が向いているため、主に北海道と群馬県、長野県、山梨県の一部で栽培されています。大粒で、浸水して戻すと4cmほど(※北海道産の場合)になり、ほくほくとした触感とねっとり感のバランスがよく、とてもおいしい豆です。
今年のお正月の豆料理は、花豆のうち、紫花豆の煮豆を3種紹介します。茹で方とレシピを教えてくれたのは、料理研究家の近藤幸子さんです。定番の甘煮に加えて、洋風おせちにぴったりの赤ワイン煮と、甘い煮豆が苦手な方におすすめの塩煮も紹介します。
【下ごしらえ:紫花豆を茹でる】※紫花豆の乾燥豆300g
① 豆をたっぷりの水で浸水します。目安は1日半~2日間ですが、気温や豆の状態に左右されるので、しっかりしわが伸びてふっくらするまで浸水します。途中で1~2回水を替えます。写真左が乾燥豆、右がしっかり浸水して戻した豆です。
② 鍋にたっぷりの水と豆を入れ、火にかけます。沸騰したら中火で1分ほど茹でた後、アクが出たお湯を茹でこぼします。
③ 鍋に水6カップと②の豆を入れ、沸騰したらごく弱火にして蓋をし、蓋をずらして40分ほど茹でたら、火を止めてそのまま30分置いておきます。
④ 茹で時間は豆の状態に左右されるので、様子を見て加減してください。竹串がすっと刺さるようになれば茹で上がりです。
【定番の、紫花豆の甘煮】
甘さ控えめの甘煮です。「つくり方には醤油を入れるものと入れないものがありますが、醤油を入れたほうが紫花豆の味わいが引き立つように思います」と近藤さん。少量加えた醤油のおかげで甘みに深みが出て、それが紫花豆によく合っています。大粒ですが食べ飽きることがなく、ついつい箸が進むおいしさです。
[ つくり方 ] 水と豆を鍋に入れて火にかける。軽く沸騰してきたらごく弱火にして、落し蓋をして豆がさらに柔らかくなるまで15分ほど煮る。砂糖を加えると豆が硬く締まるので、煮崩れを気にせず、ちょっと柔らか過ぎるかなと思うくらいまで煮たほうがよい。十分柔らかくなったら、砂糖の半量と醤油を加えて2~3分煮て、いったん火を止める。粗熱がとれたくらいで、再び火にかけ、沸騰してきたらごく弱火にして、残りの砂糖を加えて、2~3分煮て火を止め、そのまま粗熱がとれるまで置いておく。清潔な保存容器に煮汁ごと入れて冷蔵保存する。※日持ち:冷蔵で4~5日
【紫花豆の赤ワイン煮】
赤ワインで赤く染まったおめでたい煮豆です。「赤ワインの酸味をほんのり感じて、さっぱりとした味わいになります」と近藤さん。アルコール分は飛んでいるので、お子さんでも食べられます。洋風おせちの一品にぴったりです。
[ つくり方 ] 豆と赤ワインを鍋に入れて中火にかける。軽く沸騰してきたら落し蓋をして、ごく弱火で10~15分煮る。砂糖の半量と塩を加えて2~3分煮て、いったん火を止める。粗熱がとれたくらいで、再び火にかけ、沸騰してきたらごく弱火にして、残りの砂糖を加え、2~3分煮て火を止める。煮あがったら、そのまま粗熱がとれるまで置いておく。清潔な保存容器に煮汁ごと入れて冷蔵保存する。※日持ち:冷蔵で4~5日
【紫花豆のハーブ入り塩煮】
甘い煮豆が苦手な方に喜んでいただける、塩味の煮豆です。ローリエとニンニクの風味が豆のうまみによく合って、いくらでも食べられます。「この塩煮は、たくさんつくっておいて冷凍しておくと重宝します。何か一品欲しい時にサラダに加えたりしてもいいですし、ツナと和えてもおいしいですよ」と近藤さん。ワインやビールのおつまみとしてもおすすめです。
[ つくり方 ] 材料すべてを鍋に入れて中火にかける。軽く沸騰してきたら、ごく弱火にして落し蓋をして20分ほど煮て、煮あがったらそのまま粗熱がとれるまで置いておく。清潔な保存容器に煮汁ごと入れて冷蔵保存する。※日持ち:冷蔵で4~5日
紫花豆は大粒のため、戻すのに時間がかかります。一度にまとめて戻して、少し硬めに茹でて冷凍しておくと重宝します。トマト味の煮込みにするととてもおいしいので、ぜひ試してみてください。
来る新年も、おいしい豆類を食べて、まめで元気にお過ごしください。